3Dプリンタを新調した。Creality Ender 3 S1 pro
Ender 3 S1 proを買った。速攻トラブった
XYZprinting のエントリーモデル ダ・ヴィンチmini w+を使っていた。これが5年ほど使ったら壊れて動かなくなった。マザーボードのトラブルっぽい。もともとイマイチ使い勝手の悪い機種でイライラしながら使っていたのもあり「新しいやつにしよう」ということになった。
候補は
- Creality
- Bumboo Lab
- Anker
- Anycubic
あたり
選定条件は
- 大きいものはどうせ作らないので安い機種
- ヒートベッドとビルドプレートがついてるもの
- 印刷速度がそこそこ早い事
- 最新のものではなく少し古い機種でトラブルが起きた時にブログを検索できるもの
といったもの。数字は優先順位。 結局セール中だったCrealityになった。Creality Japanで買った。
Creality Japanとあるが日本に拠点はなく、中国のカスタマーサポートとやり取りをする
組み立ては2時間くらい。簡単な取説は機械翻訳のもので意味がわからない日本語もあったが、最近らしく動画があるので組み立て自体は2時間くらいで終わった。2台目からなら30分くらいでできるだろう。レベリングには苦労した。説明書の意味が分からなかった。youtube他を参考にどうにかテストモデルのcatを出力した。その後いくつかプリントをして、大物を設定して印刷中に寝たら起きた時にはスパゲッティプリントになっていた。電源を切ってノズルを外してクリーニングして再度実行したらプロープの動きがおかしい。レベリングができなくなりカスタマーサポートにメールを送った。
Creality Japanから買ったので日本に支社があり日本人スタッフがいるんだと思っていた。だからメールは日本語で書いたんだが3日たっても返事がない。HPのサポートチャットに書き込むと英語でしか対応してくれないのでようやく中国拠点しかないことが分かった。チャットに書き込んだら「順番に見てますからちょっと待っててください。メールは確認しました」と返事が来たので待ってたんだが3日たっても返事がなかった。
Twitterに「Crealityのサポートから返事ないわー」と書いたら3時間後くらいに返事が来た。SNSはちゃんとチェックしてるようである。
メールは英語できた。なのでやりとりは全部英語ですることになった。ChatGPTに英訳してもらいメールを送る。「動画を送ってくれ」というのでスマホで撮影してグーグルドライブで共有してメールをやり取りしたら「プロープユニットの故障。代わりのパーツを送る」という返事が来た。「10-15営業日待ってくれ。トラッキング番号が必要なら数日後に連絡してくれ」
荷物が届かねぇ
3日たって「番号教えて」とメールしたが「まだ情報がアップデートされていない。数日待ってくれ」という返事。3日後も同じ、6日後も同じだった。「連休があったから」というので 「"10-15営業日"だもんな連休があるならしゃあないか」 と思っていたら、20日たった。荷物は届かないしトラッキング番号もわからないしどうなってるんだ?とメールしたら 「倉庫に確認取ったら在庫切れになってて、急ぎで生産して送ることになった」 という返事で「なんだこの会社」と思った。
多分、発送を管理してる大きい倉庫が貿易港の近くとかの遠い場所にあってカスタマーサポートは本社などにあり指示だけ出しているのだろう。トラッキング番号を自動で送ってこない当たりシステム連結はされていないようである。 「在庫切れなら在庫切れだって連絡してこいや」 と思った。不快感はたまっていたいがこの辺で許容範囲を超えた。
荷物は届いたが直らねぇ
ようやく荷物が届いたのは26日後であった。2時間程度かけてプロープユニットを交換したが今度は別の症状になった。プロープで位置を確認した後ノズルが下に下がりテーブルに激突してもまだ下がり続ける、操作は受け付けないので電源を切るしかない。
動画を再度送り、「プロープとの通信がおかしい。別の部品も送る」となって、それがついたのが20日後で取り換えに4時間かかった、が症状は変わらない。ここまでくると「なんで故障した安い3Dプリンタの分解と組み立てで2日もただ働きしてるんだ?」という気になる。 動画を再度取り直して送ったら「動画を見て気づきました。設定の数字がおかしい」という返事が来た。はよ言え。
故障の原因と遠因
レベリングができなかった理由の一つはプロープユニットが壊れていたからだった。
レベリングの流れ
- ユニットが中央に動く
- プロープユニットが出る。徐々に下がりテーブルの位置を確認する
- 10mm上がる
- 指定した設定量だけノズルが下に下がる
- ノズルが止まる
- 手動レベリングと自動レベリングのどちらをするか選ぶ
- まず手動レベリング(5点測定)を選びA4用紙一枚分の厚さに設定量とテーブル高さを調整
- 次に自動レベリング(16点測定)を行う
最初のトラブルはプロープがでないので2が自動終了して3が実行され10mmあがりエラーになる。これはプロープユニットの機械的な故障で部品交換によって直った。
ただそのあと4で下に下がっていったときにノズルがテーブルに接触してもなお下に下に下がってめり込んでいく症状が起きた。この原因は「設定量が大きすぎる」事。-6mmに設定していた。プロープ先端とテーブルが接触する距離がおそらく4mmくらいなんだろう。ただこの設定料を変更するには6まで進まないと設定量を設定する画面に行けない。プロープで距離を測っているんだからそれ以上の設定量が設定されているならそれは検知しないといけないわけでソフト上おかしい。
結局、設定の画面に行けないのでファクトリーリセットをかけて設定量を0にした。そしたら無事6まで行けた。
そもそもなんで「そんな異常に大きい設定量を設定したのか」というと、取説がおかしかったからである。
取説にわからないところがあった。レベリングでもてこずった。試行錯誤してどうにか動くようになった、という経緯があった。テーブル下にはサスペンションがありハンドルを回すことでテーブルの高さを調整できる。輸送があるのでこのサスペンションはギチギチに締めた状態で送られてくる。これをリリースしないといけない。次にハンドルでテーブルの水平だしをしないといけない。僕は水準器を使って水平だしをしたが本来は「手動レベリング(5点測定)」で水平だしを行う。5点のどこで測っても紙1枚の隙間≒水平。なので手動レベリングという表現は本当に手動でレベリング(水平だし)をするわけである。手動で水平だしをしてから自動レベリングにかける。自動レベリングではプロープで距離を測定してテーブルの傾きを把握してGコードを実行するときに修正をかけているのであろう。自動レベリングの方が表現としておかしい。物理的なテーブルの水平は関係ないわけだから仮想レベリングとかであろう。ソフト的に対応するんだったらソフトで完結すればいいし、変な仕組みである。
ギチギチになっているのはタイミングベルトもそうで、調整ハンドルで微妙に緩めないといけない。
太いケーブルを止めるケーブルホルダーがあるが、これはプリンタヘッドが反対側の端まで移動しても余裕があるようにケーブルを固定しないといけない。ユニットの動きを邪魔すると精度が下がる。
結論
日本国内に拠点があって修理をそこで受け付けている会社で買うべき 初期不良があったらすぐに送り返せるようにダンボール類は捨てないこと スパゲッティプリントの自動検出機能をつける ファクトリーリセットをかける 「プロの作った製品だから欠点はないはず」なんて思ってはいけない 大型の出力はどうせ失敗するから大きいものが印刷できる必要はない
2020東京オリンピックについて
すごいドロ船になっており、関わったもの全員が不幸になる「全損」「禍づ神」といった言葉しか浮かばない。
むしろ感動的である。「人間が苦難を乗り越える姿で感動を届ける」という総理の言葉はそういう意味なのか?俺が関係者、責任者なら素面でいられない。酩酊するほど酒飲んで勢いで首くくりかねない。
もちろん「やりたい」って自分から手を挙げて誘致して契約して、すごい金をぶち込んで、無理言って延期してもらって、今更中止できないのはわかる。開会式も中止したら違約金を払うことになるそうだ(だからってあのクソの作った曲を使ったら理念の冒涜なんだけどな)。
僕はスポーツに興味がない人間なんで全く理解できないんだけど「「オリンピックだから」と言えば何しても有権者は理解してくれる」とどうやら政治家と官僚は思っていたみたいで、いまだに思ってるみたいである。大盤振る舞いした結果、首が回らなくなってる。
「安全安心の大会」というフレーズを繰り返しているが、安心は気持ちの問題であり、安全は科学の問題である。
安全な大会の実施が可能なのか、そのための各対策の評価は専門家にしかできないのでおいておくとしても(現段階でボロクソに言われているが)、国民の気持ちを落ち着かせる安心の方は政治家の仕事だろう。
菅総理は「安全安心のオリンピックを実現する」と言ってる。これがわからない。去年あれだけ被害を出したウイルスが変異して超強力になって感染爆発を起こしている中でのイベント開催は不安しかないわけだ。本人がどれくらい本気で行けると思ってるのかすらわからない。
安心と信用の違いというのを心理学者が以前解説していた。
安心:保証する仕組みがある時の感情。
信用:無条件に信じること
自動車の運転には事故を起こす危険性が存在するがそんなときのために保険に入っている。返済が滞った場合はヤクザが取り立てに来る、客が行儀の悪いことをした場合は裏から怖いお兄さんが出てくるなどの「仕組みによる保証」が「安心」。
安心をうたうなら「万全な感染対策」とやらの中身がどうなのかを示さないといけない。バブルになっていて全員が収容・隔離され、バブル内部には多数のバブルがあってチーム以外とは接触しないようになっている、感染は早期に発見でき、発見した場合はそのバブルを閉鎖するので全体が守られる等。そういう仕組みが説明されれば「ああ、これなら確かに安心だ」という風になる。次の冬のオリンピックでは間違いなく中国はそうするだろう。
そういう仕組みが「ない」「作れない」または「機能するわけがない」と思われてる以上、総理が言うべき言葉は「安心」ではなく「信用」の方だろう。
「たしかに困難に直面しているし、課題はいっぱいある。前門の虎 後門の狼。国難だ。だが俺がなんとかする。信用してほしい。政治生命をかける」バーン
って打ち出せば「まぁそこまで言うのならやらせてみるか」という感じになる(かもしれない)。それはレトリックでしかないかもしれない。言葉だけで実効性はないかもしれない。一部の人しか信じないかもしれない。
でもオリンピックというのは世界的なイベント、特別なイベントであり、「オリンピックだからな。しかたないな」と思う人が確実に一定数いる。決まったとき「オ・モ・テ・ナ・シ」マネをみんなしてたじゃん。そいつら共犯じゃん。
「人流を減らすのが大事だ。せめてオリンピック期間中だけでも」
という世論になれば官民挙げてオリンピックを成功させるという方向性があったはずなんだ。
安倍総理が倒れて非常時だから空白を作らないために官房長官から格上げされたわけだ。自民党の長老たちだけで談合で決まったけど国民も追認した。感染対策を求められたからだ。それができないならもう政治家として終わりなんだ。
政治生命はかかってるわけじゃん。だったらフカシこくくらいすればいいのに。金もかかんないしさ。なんなら「もう内心ではあきらめてるんじゃないか」と勘繰ってしまう。
酒造免許の講習をした
先月、酒造免許が欲しいという人の依頼で酒造免許の講習をしました。
講習の資料をこっちに置いてあります。
概要を簡単に解説すると、
前提になっているのは酒造免許の交付要件のうちの「経験条項」つまり「私はお酒を作る能力が十分にあります」というのを証明するという部分。
・酒造メーカでの勤務歴
のどちらかである場合は問題にならないが、新規に取得する場合(町おこしで地ビールを作るなど)はたいてい未経験なので躓く。
「条件を満たせば新規の免許を交付する」とあるのに事実上免許が取れないとなると「何考えてるんだお前ら」という話になり、町おこしの場合町長さんが怒る。町長さんは地域の有力者で、税務署長(20代の若手のキャリア官僚が下積みで来てる)も頭が上がらない。
「経験を有する事」としか書いてないのに「この二つしか認めないって法律解釈学的にどうなの?限定解釈が正しいという根拠あるの?」って話になり窓口の人が困ってしまう。
研修というのはその救済処置みたいなもので
・酒造メーカで3日くらいの研修を受けた
でも条件がクリアになる。
免許の申請でひっかる項目はあと何個かあるが、経験条項は研修先さえ探せば3日でクリアできる。
研修内容は法律で決まってないのでどこも好き勝手やっているらしく、
「東京で研修をお願いしたところは夏に1週間草むしりでした」
という話を聞いた事がある。修了証はもらえたが「ええんかな?」と思ったそうである。
今回の研修は3日間用意した。免許の交付を受けれるという前提で、免許の維持のために許認可事業者の義務を果たさないといけない。できないと更新ができない(免許が切れて廃業になる)。
1.酒税法について
2.食品衛生学・食品衛生法について
3.実習および質疑応答、商売上のコツ
の3項目に分けた。一応、「これくらいはわかってないと実務上話にならんだろう」という基準で内容を作った。
講習を受けた人の感想は
「これは職人になる訓練というよりも事務員の養成ですね」
というもの。本質を理解しているなと感心した。
製造業をやるには
1.商品を作る
2.商品を売る
3.雑務(資金調達・会計・税務・法務・ITなど)
の3つ必要で、1つ目は工場の運営でモノづくりとか職人の話、2つ目は営業とか宣伝、3つ目は要するに本社機能であり、事業をやる以上は1と2は外注できるけど3は絶対に必要になる。工場はないけど本社あるはあり得るが、逆は無い。
ドラクエで言うと1が戦士で2が魔法使いで3が僧侶。
製造は単純作業に分解してバイトや機械が無限に繰り返す(たたかうを連打)。2は便利な営業台本を作るか気の利いた宣伝文句で売上を作る(現代の魔法。できない人はできない)。
3は辛気臭い顔をしたアンデットの群れをやっつける呪文を唱えたり(「それは行政手続法上問題があるのでは?」)、死にかけた事業に銀行をだまくらかして資金を注入したりする(冒険初期のレベルが低いときによく死ぬ)。
エクセルの基本操作、便利なクラウドサービスを上手に使う、簿記3級程度の会計の知識、行政から補助金を取る、銀行と話をまとめる、確定申告ができる、条文が読める程度の法律学の知識、労災を起こさないための安全対策、必要な保険の契約、各種許認可の取得
といったものが開業する前に必要になる。僕の知っている限り、中小企業の社長さん(またはその奥さん)は得意不得意はあるけど全員これが一通りできる。
従業員にやらせることもできるんだけど、その人が辞めた時に本社機能が止まると認可の維持ができなくなって詰む。
起業したいなら僧侶になれ。悟れ。
というのが本講習の主旨であり、講習は「肩こりと腰痛に気をつけて」とアドバイスして終わりになる。
酒のラベルにおける「いいデザイン」とは
"ラベルのデザイン"というのは酒造をやってる側からすると結構めんどくさく、やっていて楽しくはない。外からすると簡単そうに見えて楽しそうに見える作業のようだ。委託製造の依頼人とか酒造で起業したい希望者と話してると温度差を感じる。こういうのを"ピクニック気分"と呼んでいる。
以下簡単に
- デザインは見た目がカッコいい事ではない
- 法律上の記載義務がある
- 貼りやすいかどうか
- 接着不良は人件費がクソ上がる
1.デザインは見た目がカッコいい事ではない
デザインとアートの違いで、デザインの日本語訳は設計。設計というのは車で言うと、早さを追求すればレーシングカーの形になるし、積載量を追求するとトラックになる。レーシングカーは一人乗りで荷物が載らないし耐久性もないので消耗品だ。それなりに早くて日常遣いもできる形がいいならスポーツカーになって、速さはそこそこで荷物が詰めてならセダンになる。小さくて安くてなら軽自動車になる。安くて耐久性があってとにかく荷物が載るなら軽トラになる。
設計(デザイン)というのはいくつかの要素の折り合いをつける行為。100点はない。その要素の一つに「見た目のカッコよさ」(外観)があるというだけで他の要素と折り合いをつけないといけない。逆に見た目のカッコよさだけを追求するのがアート。「絵を描くの得意なんすよ。俺ならカッコいいラベルが描けます。楽勝っす」ってのはアートとデザインの区別がついていない。「見た目以外にもいろいろあるんすよ」とは言うけど色々ある事が"見えてない"わけで、説明が通じるわけではない。やってみればわかる。実際にやってみて経験したらちょっと賢くなる。
2.法律上の記載義務がある
ラベルには原材料表記その他もろもろ記載義務事項がある。義務なので書かないとしょうがない。これがフォントやフォントサイズ・文言などが規定されていてなかなかめんどくさい。消費者保護のためのものなので文句を言う筋合いはないもののサイズはともかくとしてフォントの種類が指定されているのは意味が分からない。ラベルを作成したら届出をして審査を受けることになる。
有機JAS法があるので有機やオーガニック表記には規制がある。薬機法があるので薬効をうたう事はできない。が、やりたがる人が多い。書いた方が売れそうな気がするのはわかる。ろくに考えずに印刷して審査ではねられると全部無駄になる。審査には時間がかかるので「ダメです」の連絡が来た時点ですでに出荷しちゃってる場合は回収になる。
3.貼りやすいかどうか
ラベルを貼るには1個あたり30秒-1分くらいかかる。30秒と1分では人件費が倍になる。台紙からシールが剥がしやすいか、位置決めがしやすいか、水平が取りやすいか、ボトルとサイズが合ってるかなどはそのままコストに跳ね返ってくる。 巨大工場だと全自動でラベルを貼っているが、リールにシール印刷するのはコストが高くなるし1ロットが2000枚-3000枚くらいになる。それだけの販売の見込みがあるケースは少なく、シートに印刷して手張りすることになる。
レーザカットを使って複雑な模様を入れるとか、複雑な形状にするとか、全面にシールを貼るとか、何枚も貼るとかはするべきじゃない。シールは小さければ小さいほどいい。貼りやすいし印刷代も安い。
4.接着不良は人件費がクソ上がる
酒じゃないけど瓶詰めで起業した人と話すことがあった。「ボトルを見た目のカッコよさだけで選んで、ラベルを見た目のカッコよさだけでデザインして、貼りにくいけど頑張って貼ったら、シールとボトルの間に泡が入って浮いちゃった」という相談をこの間受けた。実物を見たが割とひどかった。
- 単純に張るのが下手。数こなせば不良率が下がるので悲観するほど悪い状況じゃない
- 円柱に比べて四角柱とか六角柱とか角があるのは難しい。角でシールを曲げた所に空気が残りやすい。
- 面のある瓶を使うなら面の大きさより小さいシールを使うといい
というようなことをあーだこーだ言った。 結論は「このラベルいまいちなんで早く変えた方がいいっすよ。手間が無駄です」という身もふたもないものになる。
ラベルに泡が入るのは貼った時はわからない。一晩おくと空気が集まってきて泡が作られラベルが浮く。慣れてくると「今貼ったボトル、手ごたえがなかった上手く貼れてない気がする」とかわかるようになる。ラベルが固い場合反り返ってきたりするし、貼る前にボトルの表面の洗浄をしないと接着剤はくっつきにくくなる。そういった外観不良は確率で発生するので不良率を下げる必要があるが、1本2本作ってる時は気づかない。シールの素材、接着剤の種類、ラベルの形状、貼り付けの治具を色々試すことになる。
100本作って30本不良があると青ざめる。ラベルを引っぺがすのが大変だし、ラベルによってはきれいにはがれないのでこすり落とす。再洗浄して貼りなおすわけだが、その貼りなおしたやつも3割くらい不良になって再度やり直すことになる。
そんなの儲かるわけないよね。
デザインというのは大事なんである。生産性が上がればコストが下がる。こういった問題を全部解決して合格点。その上で"カッコいい"ならなお良い。カッコよさは売上にプラスの影響があるはずだからだ。いっぱいやらないといけないことがあってとても大変なんである。
「中身(酒)と全然関係ないこんなシールになんでこんなにコスト(お金と時間)をかけてるんだろうな」と落ち込むこともままある。
ESP32とarduinoのserial接続にてこずる
年末にM5stackとarduinoを使って機械を作っていたんだが、シリアル通信ができなくて暗礁に乗り上げてた。
色々調べた結果、ESP32が3.3V駆動でarduinoが5V駆動なのと、通信速度がESP32は115200でarduinoが9600なのが原因のようだ。あと実験のためにPCからの給電でVinピンをつないで複数を動かしてたのも良くなかった。電流不足で正常に機能してなかった。
どれも言われてみれば初歩的な事なんだが、特定するのにずいぶんと時間がかかってしまった。ググった感じではみんなESP32とarduinoのシリアル通信はやってないみたい。それはそうか、3.3Vと5Vと2つ規格がまざるのを避けてどっちかだけで作ればいいわけだし。ESP32だけで動かすのは検討したが、今回は使いたいパーツの関係で混在することになった。
ググった結果「レベルシフターというのを使えばいい」という事はわかったものの試しに使ってみたらESP32からarduinoへはできたが逆ができない。レベルシフトが動いていない。5Vから3.3Vへ信号を送ると壊れるけど3.3Vから5Vへは回路に負担はないらしいので、ESP32から通信できれば今回はいけるので結局使わないことにした。
次回への課題である。
まーあ、なんというか、「苦労した結果スキルが付いたので成長に満足感がある」というよりも「基本的な事が分かっていないせいで不要な寄り道をした」という徒労感がある。
疲れた。停滞してた開発が進みそうなので良かった。
セルフブランディングの時代
最近「起業したい」という人からの相談が多くて先週会っただけでも7人いる、
「すでにほかの商売をやってて酒もやりたい」
「今すぐにでも会社をやめたい」
「いつかやりたい」
「やってみたいとは思っていて、今はその情報収集だ」
と程度はまちまちだが、こちらの答えは
1.既にやってる人には「予算いくらですか?じゃあやりましょう」
2.それ以外には「youtuberになるといいよ」
だ。
1は既に商売をやってるんだから酒業界特有のルールを知ればどうという事はない。将棋やってるヤツがチェスを覚えるようなもので大体は一緒だ。
2は全部サラリーマンが脱サラしたいという話なので、初歩から覚えないといかんぞ、という話になる。
簿記についてとか法務とかは本読んで勉強すればよいが、何か月か何年かかけるべき話だ。その間でもやれることはHPを作ったり、SNSをやったり、youtubeにあげる動画を作ったりなど色々ある。これらは金がかからないし、ストックされるわけだから長くやっていた方が得で、すぐにでも始めるべきだ。
特にyoutubeが重要だ。Twitterやfacebookは文字ベースなので文章が読める(普段から新聞や本を読んだりするやつ)しか相手がいない。「日本の識字率は5%だ」といわれている。文章の意味が取れるやつは非常に珍しい。動画は文章が読めない残りの95%にアプローチできる。インターネットを宣伝ツールにして売上を作りたいと思ってるならやるべき第一は動画だ。
動画配信はこの10年15年で本当に安くなった。2000年ごろはIT企業くらいしか動画配信はしてなかった。500円払ってニコニコ生放送をする生主が画期的だと言われた。今はもう企業も含めて動画配信にお金を払ったりしない。youtubeは広告が入るかわりにタダで使える。タダなんだからコスパ(パフォーマンス/コスト)は最強だ。
広告収入はチャンネル登録者数が増えないともらえないが、別に要らないじゃないかどうせはした金だ。それよりもyoutue社が金かけて作ったシステムがタダで使えるというメリットの方が大きい。
「起業したいならやるべきなのはyoutubeだよ!」
そういうと「えー」みたいな反応が返ってくる。
「youtuberなんてやったって金になるのは一握りだし」
「はした金と引き換えに世間に顔さらすとかダサいし」
「そういうゆがんだ自己顕示欲を俺は持ってないし」
「匿名でいたい」
という感じの反応が返ってくる。そういう人は脱サラしない方がいい。
だって自分の商品がマスコミに注目されて新聞社がインタビューしたいとかTV局が情熱大陸に出ませんかって言ってきたら出るんだろ?
言われた瞬間は悩むかもしれないけど「マスコミの影響力で商品が爆売れ」って考えた瞬間に断るって選択肢はなくなるんだろ?だったら最初から顔だしすればいいじゃん。商売の規模が大きくなると人前に出るのは仕方なくなる。匿名でいたいなら起業するべきじゃない。
「自分は起業をしたいだけで、貯金の範囲でしかやらないし、1年で赤字で貯金ゼロになったら商売たたんで、サラリーマンやります」
っていうんなら別だけど、そんなヤツ一人もいないわけで、一発当てたいって思ってるなら顔を出すのは仕方ないよ。
それでもなお、現実は厳しく、起業の8割は5年以内に失敗すると言われている。失敗した時のためのプランBを用意しておかないといけない。
youtuberをやっている"オレ"
↓
あの”オレ”がついに酒で起業したぜ
↓分岐
成功(プランA)・失敗(プランB)
プランBはもう一回別の酒を作るか、別のアイディアに行くか、再就職するかだが、「youtubeでプランAの途中経過や成果を公開してた」「酒で起業したことがある」という事実はプラスの要素になる。失敗をしたところで人生が終わるわけじゃない、第2ラウンドもあるんだ。
もちろん現職の伝手などで売上が見込め、youtubeなんて使わなくていいんだという人はいるだろう。そうでない人に対しては
「youtubeやればいいじゃん。iPhoneのカメラいいらしいよ」
というのが僕の答えだ。
大学入試改革は公平に粛々と決めてほしいものだ
年上の従妹の息子たちが大学生になった。年取ったなぁと思った。そういえば来年は年男だ。わかってはいたけど、中年だなぁ。
大学入試改革のニュースを見て、ちょっと前までは他人事だったんだが、周りで進学の話題が増えると他人事と言ってもいられないかなぁ。
「いい大学を出ていい会社に入れば一生安泰だ」という考え方は根本的に間違っている。会社というものをわかっていない。会社は営利目的の組織なので従業員の一生の面倒を見たりしない。村や共同体とは違うのである。
しかしだ、プログラマなどの能力が可視化される職を例外として転職は履歴書で評価されるのだから履歴書に書ける項目が多い方が有利だ。
有名大学卒業で、有名企業で働き、語学その他の資格が充実してればよい転職ができる。そういう人は就活の段階でよい会社にいるので、転職は今より良い会社に行くのが目的になる。
「いい大学を出ていい会社に入れば一生安泰とまでは言わないが、会社が嫌になって辞めてもすぐ別の職につけるし、より良い条件で転職を重ねられるよ」
というのはおおよそ"一生安泰"でいいと思う。
これは日本がおかしいという話ではなく「新自由主義の社会では学歴と収入はリンクする」という話で、アメリカは極端ではあるけど資本主義社会は全部そうだし、その傾向は強まる一方だ。なぜかというと"公平"だから。"差別はいけない"から。
学歴だけで年収や出世が決まる仕組みはアメリカで始まった。なぜアメリカで始まり定着したかというと人種差別があったからだ。人種差別をなくすという方向にアメリカが変わったことによって
「黒人である」
「女性である」
「ユダヤ教徒イスラム教徒である」
といった理由で、能力があるやつを出世させなかったり年収を割り引いたりすると会社が訴えられるようになった。アメリカの裁判は負けると何十億円も払わされるので、会社は出世を客観的に説明できる理由(≒学歴)で決めるようになって、
「うちで働きたいんだったら大学はアイビーリーグを卒業してください」
「管理職になりたいんだったらMBA取ってください」
という仕組みになったので、履歴書に書ける項目を「キャリア」と呼ぶようになった。
「給料も出世もキャリアだけで決まるのが客観的で差別がなくて公平だ」と言われたら反論の余地がない。それが資本主義の国にどんどん広まった。
生きていくにはお金を稼ぐ必要がある。
人間の9割は働いてお金を稼ぐ「労働者」という生き方以外の選択肢がない。
労働条件が生活(=人生)を決める。
職がキャリアで決まる社会では、高校レベルの内容は理解してる事が前提で、大学・大学院は行った方がいいし、働きながら行くのも珍しくなく、数学とか語学とか能力を身に着けたいならまとまった時間を訓練に使う必要があるのでなるべく良い環境(=良い大学)の方が学習効率がよく、学生時代に多くのスキルを身に着けることができる。大学で学んだ技術や知識がそのまんま年収になる。
その社会人(労働者)生活のスタートとなる大学入試の信頼性が揺らぐというのは、消費税の数パーセントの話なんかよりもずっと、多くの人の人生に関わってくる。少なくとも合格・不合格は能力だけで機械的に決まってほしいものだ。運が絡む要素(博打)は人生にないに越したことない。