万事、塞翁が馬

人生の幸・不幸は予測しがたい。最後に立っていたやつが勝ちさ。京都で酒造ベンチャーをやっているよ。

「日本酒」の免許取得の抜け穴

新聞を読んでいたら面白い記事を見つけた www.nikkei.com ポイントは副原料を使う「その他の醸造酒」の製造免許の部分。

酒税法上の清酒の定義は

1.米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの 2.米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの

清酒の「その他物品」はアルコールやアミノ酸、糖分など。 ビールは副原料が広く認められてて

麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料

これに加えてこの間の酒税法の改正で新しく色々と認められた

イ 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含みます。)
ロ コリアンダー又はその種
ハ ビールに香り又は味を付けるため使用する次の物品
1. こしょう、シナモン、クローブ、さんしょうその他の香辛料又はその原料
2. カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
3. かんしょ、かぼちゃその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含みます。)
4. そば又はごま
5. 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
6. 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
7. かき、こんぶ、わかめ又はかつお

ビールで認められているこれらの副材料を加えることは清酒免許ではできない。それをしたい場合は「その他醸造酒免許」(雑酒免許)が必要になる。 清酒免許は新規で取得できないが、雑酒免許は新規で取得できる
日本酒・ビール・地ビール・ワイン・シードルやベリーワイン・酒精強化ワインじゃない醸造酒は全部雑酒免許になる。どぶろく、マッコリ、ハチミツで作るミードなどだ。変わったところだと古代米の赤米で作る古代の日本酒なんてのもあって「赤米は法律上の分類が雑穀で米じゃない」って理由で雑酒免許になった。

日本酒の定義が「米・米麹を使って濾す」なので「濾さない」なら雑酒どぶろく)になる。だから日本酒造りがしたいけど免許取れないって人はどぶろくに行くんだけど、「米・米麹以外の材料を使う」って形で雑酒免許を使うのは斬新だ。
経営が軌道に乗れば免許条件の緩和の手続きで清酒免許も取得できるだろうし、それも視野に入れているはずだ。
なんにせよ久しぶりに感心した。世の中には面白いやつがいるもんだ。