万事、塞翁が馬

人生の幸・不幸は予測しがたい。京都の酒造ベンチャー"FLFS"の「名目上の社長」こと姉崎亮太の平凡な日常の記録。

日本はもう謝ったら負けの国なんだよ


「謝ったら負けだと思ってる人っているよね」っていう話題はSNS上でたまに見かける。この言葉は「謝れば済む話である」「人間はミスするものだから"私は無謬"で生きるのは無理がある」というのが前提になっている。
「わ、ヤベえゴメン」って思ったときは、さっさと謝って責任を認めて損失補填までやっちまえば「神対応だ」ってなるわけだ。
でもそれってもう過去の話だよね。日本はいつの間にか謝ったら負けの国になったんだよ。
 
少額のトラブルで損失の補填を請求するのは邪魔くさい。トラブル対応でてんやわんやしてる時に書類仕事増やすような事こっちだってしたくない。「次は気を付けてね」で済むわけだ。純損失は大した金額じゃない、予期せぬトラブルは起こるものだ、だったらお客さんに迷惑かからなかったし今回は良しとしよう、明日からまた頑張ろうという話になる。そんなの日常だ。
 
今日トラブルがあって問い合わせをしたらその担当者が全く謝らないヤツでムカムカして
「ああ、もう来年度BASE絶対つかわねぇ」
と心に決めた。まあ要するにこじれたわけだ。
じゃあなんでそういう担当者は謝らないのか、「権限がないから」そして「勝手なことをするとクビになるから」だろう。
 
自営業者の中には「従業員と話すのは時間の無駄だからトップとしか話しない」という人がいる。トラブルが起きたら「どないなっとんねん」と相手の会社の社長の携帯に電話して状況説明すれば
「そうか。スマンスマン」
「おう、頼むでホンマ」
で済むわけだ(電話先の会社では担当者は社長に怒鳴られてると思う)。
次あったときに
「こないだスマンかったな。これアレなんだけど、、、」
「いらんいらん。邪魔くさい」
っていう話になる。

でもコレ電話の先が社長以外だったらそういう風にはならない。延々と言い逃れをして責任を認めないという話になる。大きい会社ほどそうだ。
責任を認めても損失を補填しなくていい場合がある。迷惑かけたけど迷惑かけられた側が一方的に損を引き受けてくれる場合だ。
「責任を認める」は「必ず損する」ことを意味しない。損する場合と損しない場合がある。
迷惑かけられても小さい事なら許すし、次の取引でオマケつけてくれたらそれで良しとしたりする。しょっちゅうなら困るが何回かはOKだ。コーナリングにミスってコースアウトしてもエスケープゾーンがあるからフェンスに当たって死んだりしない。もちろんエスケープゾーンあてにして運転すると死ぬんだけど、それはまあ別の話。
 
責任と権限はセットだけど、非正規雇用の割合が4割とかになってもう10年たつ。
下っ端には責任も権限もない。「どうなってるんじゃ」と怒鳴りこまれたときに「わーゴメン」って言うわけがない。まず権限がないのに勝手に責任を認めることができない。損失を補填しろと請求されたら上司に怒鳴られる、契約を切られるかもしれない、クビにならなくとも社内で無能の烙印を押されると息苦しいから辞めざるおえない。
もう日本の下っ端たちの世界では「生き残るためには無謬でなければいけない」「謝ったら負け」というのがルールとして確立してるわけだ。
 
だったらそう言ってくれたらいいんだけど、でも謝ってるフリだけはするんだよね。マニュアルなんだと思うけどスゲーむかつく。
例えばの話、道歩いてて「どかんかコラ」と背中を蹴っ飛ばされたとして「なにすんじゃコラ」と怒鳴ったら
「ゴメンゴメン。言葉遣いが悪かった
って言われたらケンカになる。それは謝ってることにはならない。「お前は蹴っ飛ばされて当然だ」と開き直ったことになる。
 
「こんな状況なんだけど、どういうこと?」
困ったことがあって問い合わせをしているわけだ。その時は対処法だったり、少なくとも謝ってくれるだろうと期待してのことだ。損失の補填を請求するかどうかは金額しだいだ。責任逃れをするような会社だと思ったら最初から切ってる。時間の無駄だ。
それに対する返事が
「仕様でございます。 」
「ご不便をおかけいたしまして大変恐縮でございます」
「FAQにてご案内しておりましたが、ご確認いただきづらかったとのことで申し訳ございません。 」
「あらかじめ各機能の動作を機能毎の詳細・サポートページ、ヘルプページ等でご理解いただいた上でご利用いただくようにお願いしておりますが、本件に関し、ご案内が分かりづらい箇所にあった点に関して弊社側でも早急に改善を行わせていただきます。」
散々待たせたあげく"言葉遣いが悪かった"かよ。設計上の問題だと認めないのか。せめて堂々と開き直れよ、ムカついてしょうがねぇ。もういいよ、これっきりにする。
 
今回はそれで済むんだけど、でも本当の問題は「謝ったら負け」のルールが確立してることで、今後こういうことが増える事はあっても減ることはないんだろうね。気が重い。