万事、塞翁が馬

人生の幸・不幸は予測しがたい。京都の酒造ベンチャー"FLFS"の「名目上の社長」こと姉崎亮太の平凡な日常の記録。

移民政策に対するネットの反応について

トランプが就任早々に移民政策の見直しに着手した。アメリカは移民の国だから移民が重要なテーマになる。

移民と難民は別のものだ。味噌と豆腐くらいちがう。この二つは区別しないといけない。
難民は国を追われた人だ。母国で戦争や政治弾圧にあってそのままいたら殺されちゃうor家族皆殺しにされちゃう、という人が別の国に行ったら難民になる。人道上の問題として保護することになってる。
移民は国から出て行った人だ。職を求めて母国を出て行った人。出稼ぎ労働者のことだ。

厳密な線引きはない。ジンバブエソ連みたいな経済破綻した国家からの大量流出を「経済難民」と呼ぶ。「経済」ってついてるのは正規の難民じゃないから。ただほかの移民とは区別するべき特別な事情があるから経済難民という特別な名前を付けている。移民、経済難民、難民の線引きはない。シリアから大量の難民がEUに行った。これは内戦があったから難民なんだけど、その中の相当数は豊かな暮らしを目指してEUに行きたかった人たちだ。移民色が強い難民だ。

移民は労働者だから移民問題は結局のところ経済問題だ。経済問題を起こさないために移民を規制すると人種差別問題になる。
先進国と途上国の貧富の差は大きい。男はヤクザ、女は売春婦しか生きるすべがない国に生まれれば「こんなところ出て行ってやる」と思うのは当然だし、応援したい気持ちはみんな持つ。かといって何十万人も来られると困る。その時は自国民を優先する。
どこの国で生まれたかはその人の責任じゃない。その人の責任じゃないことでペナルティを与える事は差別そのものだ。移民政策は人種差別と離すことができない。

移民を追い出すか受け入れるかは経済運営だから政府が決める。
イギリスは移民国家だ。景気がいいときは労働力不足になるから移民を受け入れる。景気が悪くなると失業率が上がるから移民を追い出して調整する。フランスは受け入れた移民を追い出さないが「フランス語を喋れ」「外ではヒシャブかぶるな」とフランス人になることを求める。「嫌なら出ていけ」だ。
日本は移民を(難民も)受け入れない。それは人種差別として国際的な批判があるんだが、日本国内では日本人でそれを批判する人がいないので移民問題はない。労働力不足にはなってて留学生とか研修生ということにして単純労働者を受け入れてる。一定期間で出ていく人を経済状況に合わせて受け入れてるのでイギリス型の移民政策だ。

移民は労働力だから受け入れは生産能力の強化だ。
EUの人の移動の自由化は経済大国ドイツとフランスが東ヨーロッパからの移民を取り込んで経済発展するためのものだ。イギリスは大英帝国の遺産のブリティッシュコモンウェルスがあり、インドやパキスタンからの移民を受け入れてる。中国も労働ビザ緩くて働いてくれる人は歓迎だ。大国の中で移民に厳しいのは日本くらいだ。
もちろん移民超大国はアメリカだ。

労働者は3つに分けられる。それぞれが1から3流に分かれる。
クリエイティブクラス:発明家やデザイナー、スポーツ選手、学者。給料は青天井だが、ごく一部の人しかなれない。
プロフェッショナル:医者や弁護士。高賃金だが責任が重い。職務を全うできなければ刑務所に行くことがありうる。
マックジョブ:単純作業労働者。ファストフードや清掃人。低賃金だが責任はない。
クリエイターとプロフェッショナルは希少で高価だ。1流の人材を集めるのは相当難しい。

超大国アメリカの経済力は移民の力だ。上場企業の創業者の半分は移民だ。ハーバードやプリンストンはどこの国の学者でも天才なら受け入れるし、メジャーリーグには日本人選手が大勢いる。ハリウッドのクリエイターや役者たちもそうだ。アメリカの主要産業は世界中からクリエイタークラスとプロフェッショナルを集めて運営している。大量に受け入れて供給過剰にすることで本来は希少な人材を大量に安く使える。

自動車会社はメキシコへの工場移設をやめた。大企業減税があるからコスト増はペイする。政府に貸しを作ることを選んだ。「アメリカの企業として当然です」とか言ってるけど「単純労働者なんて何人でもいい、いくらでも替えが効く」と思ってる。
科学者、映画界、gooleとTwitterは意見を表明した。これらは優れたクリエイターを世界中から集める産業だ。人の移動が止まるとイノベーションが止まり競争に負ける。移民がドイツでも中国でもなくアメリカに行きたいと思うから成り立ってる。「アメリカは移民の国だ。人種差別と戦う」とか言ってるけど、マックジョブにしかつけない単純労働者とは住む世界が違う。

意見というのは立場の表明だ。彼らは自分たちがどういう立場(利害関係)なのかわかっている。きれいごとだけを言えるのは無関係という立場の人間だ。
日本人の大部分はアメリカの移民政策と無関係だ。だから日本語のネット空間ではきれいごとばかりがあふれている。ヨーロッパもトランプに文句言ってるけど、去年メルケルがシリア難民大量に受け入れた時はブーたれてたじゃん。急に人種差別反対って言い出したのでちょっとビックリした。

ウソついてるとは思わない。本心で言ってると思うし、いい人なんだと思う。それでも、よくないとはわかってるがついついこういった冷笑的な目で見てしまう。よくないとは思ってるんだが。