万事、塞翁が馬

人生の幸・不幸は予測しがたい。最後に立っていたやつが勝ちさ。京都で酒造ベンチャーをやっているよ。

脱サラした人のあれなところ

ちょっと変わった技術で脱サラして起業した人がうちに営業にきた。面白い技術だったんで話を進めてたんだがどうも交渉が進まなくて結局断った。 脱サラ組は自営業者の世界のゲームのルールがわかってない人が多いように感じる。サラリーマンでも上に行くと幹部講習とかで習うんだと思うが、幹部講習まで行く人はルールを知ってるが脱サラはしない。幹部講習に行かない人(出世をあきらめた人)が一念発起して脱サラする、という仕組みなんじゃないか?

もったいないと思う。ルールブックくらい読んだ方がいいよ。よく見かけるミスは次の2つだ。

1.判断が遅い

一般に自営業者は基本みんな忙しいんで「保留のまま一週間放置される」とかは相当イライラする。よほど難しい問題は別として「トップ同士で話してるんだからさっさと決めろや」というのがルールで「レスポンス悪い」っていうのは失格の烙印を押される。 理由は3つあって

  1. 時間はお金と同様にコストである
  2. トラブル対応などスピードが必要な事態が生じたときに判断が遅い役に立たないのでこっちで対処しなきゃいけなくなる。
  3. 撤退の判断もきっと遅い。

ようするにこいつと関わるのはコストとリスクが高いという評価になる。

サラリーマンの時間感覚だと1週間またせるとか全然OKだろうし「判断ミスを避けるために吟味する」のは減点法の世界では普通だろう。でも自営業者の場合は「リスク取ってとにかく前に進める」という姿勢の方が評価される。自営業者の世界はトラブルが起きることが前提なので、さっさと始める、小さく始める、トラブル対応、いざというときはスパッとあきらめる、といった行動パターンになる。一つ一つの判断で1週間またされるとそれ自体がトラブルを生みかねないし、トータルでどれだけコストを払わされるかわからない。

自社の商品がどういうものかというのが「商品を売り込む 表の商談」だとすると、雑談の中での「こんなトラブル起きて大変でしたよ」とか「大手が乗り出してきたんで結局たたみました」とかの失敗エピソードは笑い話であると同時に「自分は修羅場くぐってますからトラブルの時は頼りにしてもらっていいですよ」っていう「自分を売り込む 裏の商談」だ。失敗談以外だと「待ち合わせの時間を守る」「事前に目的地までの地図を確認する」「1回説明したことをちゃんと覚えてる」「お土産を持ってくる」などが加点ポイントになる(それぞれちゃんと理由がある)。僕が知ってるのはそれくらいだけど多分それぞれの業界でいろいろあるだろう。

「何をするか」よりも「誰とするか」の方が大事で、アイディアを試してみてダメだった時は次を考えればいいんだけど「こいつとは2度と関わりたくないな」と思われると次がないし、大きい仕事があったとしても小さい仕事でテストしてみたヤツとしか一緒にやろうとは思わない。テストを受けさせるかどうかの足きりが上記のポイントで「ダメだなコイツ」と判断されたらテストすら受けれない。

という仕組みで世の中が動いていると僕が気づいたのはごく最近である。思い返してみると僕もいっぱいダメ判定をされている。

2.交渉の仕方がわかってない

元外交官で作家の佐藤優先生の本に日露の北方領土交渉をオッパイにたとえ話がある。

日本は4島の返還と言っていて、ロシアは2島ならいいと言っている。ロシアが「経済協力をしよう」と提案してきた。「経済協力にOKしたら4島返還をあきらめたことになるのか?だったら断らないといけない」と総理に聞かれたので「いや総理違います。これはチャンスです。受けないとダメです」と答えた。

男と女に例えると、セックスがしたいと男が思っていて、女もやぶさかでないが今一つ踏み切れないという状況で「オッパイだけならいいよ」とブラジャーを脱いだ状況が今です。
「ブラジャーだけじゃダメだ。パンツも脱げ」と言ったら相手は怒って帰ってしまい、交渉はそこで終わりです。出されたオッパイを揉むのが正解です。盛り上がったら「次」が必ずあります。
まず2島もらって、経済協力を成功させて、その次にある本命の平和条約交渉のときに4島の話をすればいいんです。

僕は佐藤優の本は好きで結構読んでるんだけど、この「オッパイの話」と「味噌とクソ」のたとえ話が特に好きだ。 互いにリスクがない形で小さく始めてみる。とにかく相手を巻き込んで動き出してさえしまえば利害関係があるので降りる決断は大変になる。難しい話はそこまで行ってからすると通りやすい。「短期的には損だが長期では回収できる」という見込みが作れるし「断ると今までやってきたこと全部が無駄になる」という状況なら大きな妥協でもせざる負えない。 ロシアが領土を妥協してくれたら日本の利益だし、日本と平和条約を締結して両国の経済関係が良好ならロシアの利益になる。「両方が勝つ」が交渉のゴールだと。

商売って需要と供給の一致だからさ、一致させるための交渉過程で自分の都合だけ言うと破談になるんだよね。自分の都合を通したいなら、交渉をどう進めていくかという計画性がいるし、「自分が何が妥協できるか」「相手は何を妥協してくれるか」の見極めも必要だし、大胆にカード切る決断も必要だ。

どうも「そういう発想がそもそも無い」っぽいんだ。とすると「こんな人と仕事して大丈夫なんだろうか」という1の話に戻っていく。

「日本酒」の免許取得の抜け穴

新聞を読んでいたら面白い記事を見つけた www.nikkei.com ポイントは副原料を使う「その他の醸造酒」の製造免許の部分。

酒税法上の清酒の定義は

1.米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの 2.米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの

清酒の「その他物品」はアルコールやアミノ酸、糖分など。 ビールは副原料が広く認められてて

麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料

これに加えてこの間の酒税法の改正で新しく色々と認められた

イ 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含みます。)
ロ コリアンダー又はその種
ハ ビールに香り又は味を付けるため使用する次の物品
1. こしょう、シナモン、クローブ、さんしょうその他の香辛料又はその原料
2. カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
3. かんしょ、かぼちゃその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含みます。)
4. そば又はごま
5. 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
6. 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
7. かき、こんぶ、わかめ又はかつお

ビールで認められているこれらの副材料を加えることは清酒免許ではできない。それをしたい場合は「その他醸造酒免許」(雑酒免許)が必要になる。 清酒免許は新規で取得できないが、雑酒免許は新規で取得できる
日本酒・ビール・地ビール・ワイン・シードルやベリーワイン・酒精強化ワインじゃない醸造酒は全部雑酒免許になる。どぶろく、マッコリ、ハチミツで作るミードなどだ。変わったところだと古代米の赤米で作る古代の日本酒なんてのもあって「赤米は法律上の分類が雑穀で米じゃない」って理由で雑酒免許になった。

日本酒の定義が「米・米麹を使って濾す」なので「濾さない」なら雑酒どぶろく)になる。だから日本酒造りがしたいけど免許取れないって人はどぶろくに行くんだけど、「米・米麹以外の材料を使う」って形で雑酒免許を使うのは斬新だ。
経営が軌道に乗れば免許条件の緩和の手続きで清酒免許も取得できるだろうし、それも視野に入れているはずだ。
なんにせよ久しぶりに感心した。世の中には面白いやつがいるもんだ。

BASEの手数料は領収書が出るのか出ないのかという話

うちのネットショップはBASEを使っている。

thebase.in

BASEはシステムが、うーん、まあ安いから仕方ないんだけど。

月額利用料はかからないが商品が売れると手数料が取られる。
 販売手数料:1件につき3.6%+40円
 サービス料:3%(2017年9月19日から開始)
 出金時の手数料:1回250円

サービス料が9月半ばという超中途半端な時に開始されて値上がりしたものの、国内の他社サービスよりはまだ安い。かゆい所には手が届かないものの、通常業務はスマホでも操作がしやすいのでまぁこんなものかなーと思う。

問題は手数料がよくわからないところだ

前年度が終了したので決算を確定して申告と納税をしないといけない。事業経費を集計してたらBASEの手数料がいくらかわからなかった。BASEにログインしたが管理画面には手数料額が見当たらない。
問い合わせフォームに問い合わせたところ「BASEでは手数料は表示しないので注文データをダウンロードして自分で計算してください」という返事をもらった。

えええーと思いながら集計作業をしたんだが、果たして自分の計算が合っているのかがわからない。なんせDLしたCSVファイルがグチャグチャで直感的に操作できない。手作業で修正して集計してとやったのであってるのかどうか自信がない。

そんな状態で決算書を作って国税に出してトラブルになるとめんどくさい。そもそも領収書ってのは受け取った側が「受け取りました」と証明するための紙だ。こっちで勝手に計算したものでは意味がない。

「領収書の発行って拒否できるんだろうか?」
と思って検索したら
https://invoice.moneyforward.com/receipts-lp/basic/receipts-issuance-duty

民法486条で義務になっているって書いてある。

こっちに権利があり、相手に発行する義務があるというのなら堂々と要求してやろう、と問い合わせフォームから

民法486条 「弁済したものは、弁済を受領した者に対して受取証書の発行を請求できる
という規定に基づき領収書を発行いただきたいのですが、どのような手続きが必要でしょうか?

と送ったところ

お問い合わせいただきました支払明細書につきましては、
月末締め、翌月10営業日までの発行であれば個別に対応させていただいております。

という返事が返ってきて「対応してるんかい!最初に言え!!」となった。

税務署に出すから17/4/1から18/3/31の領収書が必要、と返事したら
来週をめどにお送りしますのでしばらくお待ちください、という返事。

発行できるんかーい。最初に言えー。

となった。

他のショップの人たちどうしてるんだろう?45万店舗もあるんだぜ?これ全部個別に対応してるんだろうか?税金払ってないってことはないだろうしなー。

うーん、謎だ。

 

コミュニケーションの難しさについて「日本の識字率は5%だ」

使っているシステムがポンコツだったせいでトラブルになってしまった。注文もらったのにささっと出荷できなくて申し訳ない。そんなのは「ポンコツ使ってるうちが貧乏でしょぼい」という話でしかなく恥ずかしいだけの話なのだが
「トラブルがあった時に隠す会社だ」と思われるのもなんなので、お客さんには「どことどういうトラブルになって協議の結果こうなった」という説明をそのポンコツシステムのメッセージ機能で送った。

お客さんからの返信は要約すると
「そんなの私にわかるわけがないのに一方的にこちらの過失を責めてる。不愉快だ」
というもので
「???」
となった。

事務的で簡潔な表現をしたので冷たく感じたのかな?
それは使ってるポンコツシステムが一回のメッセージで250文字しか入らないのに無理やり詰め込んだこっちが悪いんだけど、トラブルの内容は簡潔に表現したほうがいいし、「システムがポンコツなせいで起きたトラブルで追加で発生したコストはこっちが払うよ」という事を書いてるので、なんでその人が不愉快に思ってるのかがまるでわからなかった。

うちはそのシステムをポンコツだと思いもせず契約して使っていて、お客さんはそのシステムを通じて注文を入れてシステムの指示通りにお金払って、そのシステムが間違ってて損失が発生したんだけど「それは俺が払う」と明言してるんだから

1.お客さんにはなんの責任もなく
2.お客さんは1円も損していない

ことは明確で「一方的に責められた」「不愉快だ」というのはどういう解釈なんだろうか?
聞きたいけど聞くと怒られるんだろうな。その質問そのものが「嫌味な言い方で責められた」と解釈されるんだろうな。
こっちから責めるような文言は一言も入っていないが「お前のせいでトラブルになったとグチをいっぱい言われた」というような解釈なのかな?

作家の佐藤優先生が「日本人の識字率は5%だ。みんな新聞を読んでるけど内容が理解できている人は人口の5%くらいだ」と著書に書いていた。

書かれていないことを類推して文脈を読み解かないと文章から意味は取り出せない。テキストの解釈は「どう類推するか」というコンテキストに依存するが、そんなの読み手の性格とか生い立ちとか生活とか業界慣習とか人それぞれ置かれてる状況でコンテキストが決まるので、「お前の読み方が間違っているんだ」とはいいがたい場合が存在する。

「損したヤツに得した自分が事務的な口調で細かい事をいっぱい言われる=責められている」という解釈は日本語として間違ってるとはいいがたいだろう。
こっちは出荷が遅れてる理由を説明してるだけなんだけど、「言葉を言葉通り受け取ることができない世界」に住んでる人というのは実際にいるからね、霞が関とか。

かといって「トラブルが起きてる時に状況説明の連絡が一切ない」ってのは論外なんで相手が怒るくらいはしょうがないかなー。
コミュニケーションからすれ違いを除去することは無理だとあきらめている。

日本はもう謝ったら負けの国なんだよ


「謝ったら負けだと思ってる人っているよね」っていう話題はSNS上でたまに見かける。この言葉は「謝れば済む話である」「人間はミスするものだから"私は無謬"で生きるのは無理がある」というのが前提になっている。
「わ、ヤベえゴメン」って思ったときは、さっさと謝って責任を認めて損失補填までやっちまえば「神対応だ」ってなるわけだ。
でもそれってもう過去の話だよね。日本はいつの間にか謝ったら負けの国になったんだよ。
 
少額のトラブルで損失の補填を請求するのは邪魔くさい。トラブル対応でてんやわんやしてる時に書類仕事増やすような事こっちだってしたくない。「次は気を付けてね」で済むわけだ。純損失は大した金額じゃない、予期せぬトラブルは起こるものだ、だったらお客さんに迷惑かからなかったし今回は良しとしよう、明日からまた頑張ろうという話になる。そんなの日常だ。
 
今日トラブルがあって問い合わせをしたらその担当者が全く謝らないヤツでムカムカして
「ああ、もう来年度BASE絶対つかわねぇ」
と心に決めた。まあ要するにこじれたわけだ。
じゃあなんでそういう担当者は謝らないのか、「権限がないから」そして「勝手なことをするとクビになるから」だろう。
 
自営業者の中には「従業員と話すのは時間の無駄だからトップとしか話しない」という人がいる。トラブルが起きたら「どないなっとんねん」と相手の会社の社長の携帯に電話して状況説明すれば
「そうか。スマンスマン」
「おう、頼むでホンマ」
で済むわけだ(電話先の会社では担当者は社長に怒鳴られてると思う)。
次あったときに
「こないだスマンかったな。これアレなんだけど、、、」
「いらんいらん。邪魔くさい」
っていう話になる。

でもコレ電話の先が社長以外だったらそういう風にはならない。延々と言い逃れをして責任を認めないという話になる。大きい会社ほどそうだ。
責任を認めても損失を補填しなくていい場合がある。迷惑かけたけど迷惑かけられた側が一方的に損を引き受けてくれる場合だ。
「責任を認める」は「必ず損する」ことを意味しない。損する場合と損しない場合がある。
迷惑かけられても小さい事なら許すし、次の取引でオマケつけてくれたらそれで良しとしたりする。しょっちゅうなら困るが何回かはOKだ。コーナリングにミスってコースアウトしてもエスケープゾーンがあるからフェンスに当たって死んだりしない。もちろんエスケープゾーンあてにして運転すると死ぬんだけど、それはまあ別の話。
 
責任と権限はセットだけど、非正規雇用の割合が4割とかになってもう10年たつ。
下っ端には責任も権限もない。「どうなってるんじゃ」と怒鳴りこまれたときに「わーゴメン」って言うわけがない。まず権限がないのに勝手に責任を認めることができない。損失を補填しろと請求されたら上司に怒鳴られる、契約を切られるかもしれない、クビにならなくとも社内で無能の烙印を押されると息苦しいから辞めざるおえない。
もう日本の下っ端たちの世界では「生き残るためには無謬でなければいけない」「謝ったら負け」というのがルールとして確立してるわけだ。
 
だったらそう言ってくれたらいいんだけど、でも謝ってるフリだけはするんだよね。マニュアルなんだと思うけどスゲーむかつく。
例えばの話、道歩いてて「どかんかコラ」と背中を蹴っ飛ばされたとして「なにすんじゃコラ」と怒鳴ったら
「ゴメンゴメン。言葉遣いが悪かった
って言われたらケンカになる。それは謝ってることにはならない。「お前は蹴っ飛ばされて当然だ」と開き直ったことになる。
 
「こんな状況なんだけど、どういうこと?」
困ったことがあって問い合わせをしているわけだ。その時は対処法だったり、少なくとも謝ってくれるだろうと期待してのことだ。損失の補填を請求するかどうかは金額しだいだ。責任逃れをするような会社だと思ったら最初から切ってる。時間の無駄だ。
それに対する返事が
「仕様でございます。 」
「ご不便をおかけいたしまして大変恐縮でございます」
「FAQにてご案内しておりましたが、ご確認いただきづらかったとのことで申し訳ございません。 」
「あらかじめ各機能の動作を機能毎の詳細・サポートページ、ヘルプページ等でご理解いただいた上でご利用いただくようにお願いしておりますが、本件に関し、ご案内が分かりづらい箇所にあった点に関して弊社側でも早急に改善を行わせていただきます。」
散々待たせたあげく"言葉遣いが悪かった"かよ。設計上の問題だと認めないのか。せめて堂々と開き直れよ、ムカついてしょうがねぇ。もういいよ、これっきりにする。
 
今回はそれで済むんだけど、でも本当の問題は「謝ったら負け」のルールが確立してることで、今後こういうことが増える事はあっても減ることはないんだろうね。気が重い。

金払えばTVに出してやるよという電話がかかってきた

ネットショップをやってると広告屋から電話がかかってくる。ヤバい経済学の読者である僕は広告屋は全員詐欺師だと思っているので基本すぐ断って切る。今回はテレビ屋からの営業だった。深夜番組でちょっとだけ商品をだしてやるから金(30万から50万くらい)をよこせ、という話だ。
 
1.知らない電話番号からかかってくる
2.「HPを見て電話してるんですが」から始まる。HPにメールフォームがあるから仕事の話はたいていメールで来る。
3.声の出し方で分かる。ずっとテレアポやってるヤツは独特のテレアポ声になる。
4.一方的にしゃべってくる。キャッチボールではなく伝えなきゃいけないことリストの内容を一気にまくしたててくる。
 
1-4が当てはまったら、広告屋だなと判断して「御社の魅力的な商品がうんぬんかんぬん」と言ってる所を「広告の営業ですか?」と割り込んで、相手がそうですって言った場合は断って電話切って終わる。
ただ今回の営業のヤツはガッツがあったんでなかなか切らせなかった。
 
オレ氏「結構です。じゃあ」
詐欺師「広告による売り上げアップにご興味はありませんか?」
オレ氏「うちネットショップなんで広告もネットしかやってないんです」
詐欺師「ネット広告にもかかわる話です」
 
相手が想定していた"シナリオは情報量でこちらを飽和させてペースを握る"だったはずだ。途中で遮られるのは予定外の事態であり、普通はパニックになって「じゃあね」に「はい」って答えて終わる。作戦が失敗したことをコンマ数秒で理解し、別の切り口から攻める第二ラウンドを始めたのは見事だった。
オ「ネット広告にTVが何の関係があるんですか?」ってつい聞いちゃった。
 
詐「HP,SNS,Youtyube等でTVで放送されたという事をアピールできます」
詐「タレントさんがほめている部分を含めて二次使用を自由にしてよいという契約になっています」
 
へー、最近よく見かけるから「著作権法違反だよなー」と思ってたんだが、あれOKの契約なんだ。完全に宣伝じゃないかそんな番組誰が見るんだ?
その後、丁重にお断りしたんだけど勉強になった。

youtuberの時代 そのインパクトについて

最近youtuberについて考える時間が増えた。今考えてるのは「なんでみんなyoutuberにならないのか」だ。
 
何らかの面白いことをしていて、その面白さが動画や音で他者に伝えられるなら、その動画は人気動画になる。youtubeから広告収入を得られる。撮影と編集の手間以外に追加費用がかからないのだから期待値はプラスになるので「やる」がデフォルトのはずだ。
ヒカキンを見た小学生が「僕もyoutuberになりたい」って思うのはわかる。「楽しい動画を作ればみんな見てくれてそれだけで暮らしていける」作り続ける難しさをそいつがわかってないとは思うけど、理屈は間違ってない。「そんなのダメだ」という大人の側がどういう理屈を組んでるのかはわからない。難しいことが十分な理由だちするなら難しくない職業しか子供に勧められない。マックジョブを勧める?
youtuberにならないメリット、youtuberになるデメリットって何だろう?特に見当たらないんだよね。
 
電子工作とかクラフトとか面白いけど採算取れないことってあるじゃん。1つ2つ手作業で作るなら何とかなるけど採算取るには1万個作る必要があって「構造的に量産に向いてない」「それを必要としてる人が1000人いない」とか「模倣が簡単で中国製のコピー(シャンザイ)が一瞬で出回る」みたいなもの。
そういうのは概念実証やプロトタイピングまではいくけど量産の段階でストップして事業化できない。
 
だったらそのお蔵入りのアイテムやその作り方を公開して同じ趣味の人が楽しく遊べばいい。見本とレクチャー動画があれば自分で作れるだろう。動画収入が食っていけるくらいあれば発明家として食っていける。セクシーサイボーグ様のやってることってそういうことだと思う。
藤村シシンさんの古代ギリシャ研究とか、小林銅蟲先生の料理ブログ「パル」もその類の活動だ。小林先生の料理すごい旨いんだろうけど飲食店として採算取れるはずない。PPAPがアリなら嘉門達夫もアリなはずだ。コミックソングの天才でもCDを何万枚も売るのは難しい。でもyoutubeで収益を上げれるはずだ。だったら目指すのはメジャーデビューではなくyoutuberだ。
今の時代のスターってそういう「採算の取れない活動で食っていってる人」のことだと思うんだよね。
 
もともと「営利を目的としないでも食っていける状況をどうやって作るか」というのを10年くらいずっと考えてるわけだ。
活動そのもので活動の資金を賄えるならそれは営利企業として成り立つ。従来の方法で商売をすればいい。ただ採算をとるのは難しい。起業の一番の難しさ(いわゆる「0円の壁」)はそこにある。
問題は活動では活動資金を賄えない場合だ。続けていきたいなら外部からの資金調達が必要で、別で働いてその儲けをつぎ込むのが一般的だ。クラウドファンディングとかvaluで寄付を集めるというのもアリだろう。youtuberは第三の選択肢だ。youtube社が勝手に広告をくっつけることで食っていけるフロンティアができた。
 
面白いものを作ってるやつを見たときに
「それクラウドファンディングしたら欲しがる人あつまるんじゃない?」って言うのと同じくらい「youtuberになればいいじゃん」って言える時代がもう来てると思うんだよね。「仕事なんかやめてそれの動画で食っていけば?」って言える時代が。
なのにみんな働いてるから「変だな」って思うんだよね。